賃貸の申込者に対してこの人に貸して大丈夫だろうか?と判断し、見抜くのは業務の重要な部分です。その拠り所のひとつは保証人です。
当社では賃貸借契約の際に保証人を立てる様お願いしていますが、これを原則身内の方としております。身内の方を立てられない場合は、余程の事が無い限り当社の段階で(大家さんに報告することなく)お断りをしております。

 これには理由があります。まず、申し込み者本人の信用度の問題。

 どんな悪人でも、信頼しあっている友達はいます。(ヤクザ映画を見ればこれは明瞭)
しかし一番身近な親・兄弟に保証人を頼めないというのは、問題があると言わざるを得ません。当然のことですが、身内に不義理をしていると保証人は頼めません。
お客様によっては親・兄弟がいないので、親戚といえば叔父・叔母でお願いしたいという方もいます。原則、申込者と苗字が同じであれば対象としています。苗字が同じというのは、単なる友人・知人で本当は他人という場合も無きにしも非ずだからです。苗字が違う場合は、謄本をとって頂いて親族関係を確認します。

 というのは20年近く前に失敗したことがあるからです。20代の女性が申込者で保証人は叔父さんという50代前後の文京区の私立K高校の職員。苗字は違います。契約後7.8ヶ月経って滞納があり、本人と連絡がとれなかったので、保証人の自宅に電話をしました。奥さんが出られたので、事情を説明しました。ところが、「当方には○○という姪はいません。何かの間違いでは?」「???」契約等の説明をしましたら、何らかの事情を察知したようでした。

 次の理由は事故があった場合。例えば死亡・行方不明・蒸発で部屋に荷物が残された場合、保証人が身内の方でないと、(死体を含む)残置物の処理に困難が生じます。原則保証人に引き取ってもらうのですが(やむを得なければの同意を得て処分)、これが友人・会社の同僚・上司だと中々難しい。勿論、滞納等の場合でも親など親族は色々動いて頂けます。

 最近、保証人を立てる替わりに家賃保証会社を使う動きがあります。申込者が賃料の0.5ヶ月~1ヶ月分を保証会社に支払い賃料の保証をしてもらう、というものです。しかし上述のように、賃料滞納だけではなく、実際には残置物の処理がより大きな問題となります。正式には裁判所の許可を得てしなければなりませんし、残置物の搬送・保管につき、多額の費用を要する可能性があります。これらには保証会社は全く役に立ちません。

 このため当社では保証会社を使っておりません。また、保証会社は皆規模が小さく(財閥系の大手損保会社はこのようなものは扱わない)、資産の準備もない為、倒産の恐れが多い(事実倒産した保証会社も数社あります)のも使わない理由のひとつです。

 家族関係・親戚等の人間関係は大事ですよというお話でした。

(平成21年12月1日  土屋 治)